咲いても、枯れても2~ソラ色~



『あの約束は、春だけじゃないのよ?』




「貴方の桜に成りたい」



拓の傍に根を張り、一生傍に居る、という。




あれは、春だけじゃない。



夏の若葉でも、


秋の紅葉でも、



冬の枯葉でも、




桜は、存在するのだから。






私が微笑むと、拓は少し安心したように笑った。




『谷間の、姫百合』





大事そうに呟く。



慈しむように、そっと。




『白純美』





はっとする。



私の、本当の名。




貴方に呼ばれると、こんなにも切なくなる名。





『白く、純粋で美しい』





嬉しくて、たまらない。




似たようなことを真優くんが言ってくれたけれど、それよりも。



何倍も、何百倍も。




嬉しく思う。



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