咲いても、枯れても2~ソラ色~



もう一度、拓を見つめる。




その顔は儚くも、ものすごく綺麗だった。




桜、だと思う。




紛れもなく、桜を抱えた、そんな人だと思う。




そして私は、その桜に強く恋い焦がれる。



限りなく、ずっと。





『さくらにぴったりの花だ』



『そう?』





桜よりも?、と思う。




谷間の姫百合。




たにまのひめゆり。





聞いたことがある名。




けれど、姫百合と谷間の姫百合は違う花。




私は、どっち?





『西条の人は、みんな植物に詳しいのね』



『うん、そうだな。だいたい皆知っている』





凄い、と思う。



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