12月24日
「はい。全問正解ですよ。」
教師は麗の頭の良さに感激し、いつも“良い子でしたよ”と父様に報告するのが日課だった。
反対に愛は、“〇〇がだめ”とか、“喧嘩を売りましたのよ!”と、怒られるようなことばかり。
麗は何かしら愛を上回っていたのだ。
このときは、家柄として愛は必要がなかった。
ただの邪魔だった。
愛は養子という心配をしなくても良かった。
しないといけなかったのは麗だったと知ったのは、それから5年後だった。

ある時、麗は聞いてしまった。
養子の話を、、、、、、、。
相手は、どこかの会社の社長らしい。
麗は耳をドアにくっつける。
「どうします?一応こっちとしても準備出来ていますが。」
きっと女だろう。ハスキーな声だった。
「さぁ。妻の病気が治れば、、、、によるな。」
「へぇ~。譲っても良いのですか?」
ドアの小さな隙間から、煙草の煙が出てくる。
一瞬それに驚きながらも、また耳をくっつけるのだった。
「別に。両方女だ。自信を持って社長だと言えるだろうか。」
「へぇ~。まぁ、評判が良いのは麗ちゃんですから、それだったら1000万で買いますよ?」
「愛は?」
「一気に下がりますねぇ。200万でしょうか?ま、集まった人の数で値は決まりますし、これから愛ちゃんを良い子に育てれば1000万は軽く超えますよ?」
そう言うと、鼻で笑い、
「集まるか?これから育てて。」
「嘘おっしゃい。そんな気無いクセに。」
女も笑った。


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