12月24日
「冗談だよ。どっちがとは決まってないが、するとも決まってない。」
と言いながら麗の頭をなでた。
でも、安心できなかった。
通り過ぎ去ろうとした女に
「送ろうか」
と優しくエスコ-トするから。
「やめて。」
「はい?」
知らないうちに麗は女の裾を掴んでいた。
「やめてください。父様と結婚するのは」
思いっきり睨む麗に
「やぁねぇ。そんな訳ないでしょう?」
と、女は笑うのだった。
でも、二人きりになったとたん
「アンタに言動権なんかないのに、拒められると思ってるの?ただの10歳のガキが。」
と、睨み返すのだ。
でも、もうこんなの慣れっこ。
「まぁ。父様の前では猫をかぶっていらっしゃるのね。」
10歳になれば口も達者になる。
女は顔を真っ赤にして麗の頬を叩いた。
「全く、、、、、もうじき母親も死ぬと分かれば財閥の娘もこうなるのね!」
叫んだ女の声が屋敷内に響いた。
父様が慌てる。
「何を言っているんだ!」
怒られたのは女ではなく麗だった。
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