レトロ・ブルー
012月87日 夢
暗闇の中に、小さなTV画面が光っておりました。ノイズが混じる映像には、私の愛しい御人の晴れ姿が映っておりました。赤や黒に点滅する画面の横には、影のように呆然と立ち尽くす愛しい御人が居りました。私が視線を彼に向けると、真っ暗だった闇の天井から眩しい程の蛍光灯やらスポットライトが一斉に愛しい御人を照らしました。
私と愛しい御人の間には、机が一つ有りました。
愛しい御人は椅子に姿勢良く腰掛け、机に片手を乗せたまま、私を見遣り、悲しそうに呟きました。『愛しておくれ、誰よりも愛して。僕はこんなにも愛しているというのに。早く、早く愛を。』
愛しい御人の声は次第に狂ったように歪んでゆきました。
私は、愛しい御人の手を取り、言いました。『私は貴方の全てを愛している。私だけは貴方を許そう。貴方は美しい。貴方は誰より美しい。私は、私は、貴方をとても、好いております。』
しかし愛しい御人はその手を振り上げ爪を立て私の喉から眼球にかけてを引き裂いてしまいました。
私の視界は真っ赤に染まり、まだらに覗く愛しい御人の白い肌に欲情しながら、私は死んだのです。こんな幸福は他に無し、と高笑いを掲げながら。
暗闇の中に、小さなTV画面が光っておりました。ノイズが混じる映像には、私の愛しい御人の晴れ姿が映っておりました。赤や黒に点滅する画面の横には、影のように呆然と立ち尽くす愛しい御人が居りました。私が視線を彼に向けると、真っ暗だった闇の天井から眩しい程の蛍光灯やらスポットライトが一斉に愛しい御人を照らしました。
私と愛しい御人の間には、机が一つ有りました。
愛しい御人は椅子に姿勢良く腰掛け、机に片手を乗せたまま、私を見遣り、悲しそうに呟きました。『愛しておくれ、誰よりも愛して。僕はこんなにも愛しているというのに。早く、早く愛を。』
愛しい御人の声は次第に狂ったように歪んでゆきました。
私は、愛しい御人の手を取り、言いました。『私は貴方の全てを愛している。私だけは貴方を許そう。貴方は美しい。貴方は誰より美しい。私は、私は、貴方をとても、好いております。』
しかし愛しい御人はその手を振り上げ爪を立て私の喉から眼球にかけてを引き裂いてしまいました。
私の視界は真っ赤に染まり、まだらに覗く愛しい御人の白い肌に欲情しながら、私は死んだのです。こんな幸福は他に無し、と高笑いを掲げながら。