魔界の恋模様
「ひぃ!」

辺り一面、目玉。
黄色い目玉やら赤い目玉やら…。
それらが、私を取り囲んでいたのだ。

「なあ、大魔王様の匂いがしないか?」
「まさか」
「もしそうだったら俺等ころされるぞ?」

だっ、大魔王さん!
もしかして、落ちて死んじゃったの!?

も、もうやけくそだ!

「わ、私はっ!大魔王のきっ妃であるぞっ!」

その言葉に、一瞬にして静まり返った目玉達。
そして、次の瞬間だった。

「ぎゃっはははは!」
「あんな貧相な小娘がぁ!?」
「腹いてぇよ!」

笑い声に包まれる周囲。
は、恥ずかしい…。

なに妃宣言しちゃったんだろ?
私…。

な、泣きたい。

「ひっひぃ…!さっさと食っちまおうぜ…くくく!」

…食っちまおうぜ?

や、やばい!
本気で食われるぅ!

なにかが動いた気配がした。
その次の瞬間どさっ、となにかに押し倒される。

「やっ…!」

「お、顔は好みだぜ」

じわっと涙が滲んできた。

思わず、叫ぶ。

「ッ大魔王さん!」




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