魔界の恋模様
「浮気も中々スリルがあるものさ」
…あの。
暗くてよく分からないけど、
レイスさん。
貴方の背後の方に赤黒い炎が見えますよ?
「ルーイース様!」
「げっ!ま、まずい!」
突如、切羽詰まった声で喚き散らしたと思ったら、
レイスの気配が無くなった。
「まだ公務の仕事が残っております!」
「ああ、アレはクリス。レイスおつきの使用人だ」
様はレイス専用のメイドさんね。
それにしても…暗い。
私、誰ひとりとして姿が見えてないけど?
「あ、お帰りなさいませ、大魔王様。お待ちなさい、レイス!」
随分とあわただしいようで。
「では、中にはいるか」
「…はい」
ギイイイ…と、厳かな音がした。
大きな扉の隙間から光が射し込んでくる。