魔界の恋模様

「さっさとしろ」

聞き間違えじゃなかったーっ!

って!

ちょ、待って!
段々と近づいてくる穴。
ちょっとたって、大魔王さんに突き飛ばされたんだと理解ができた。

「恨んでやるー!」

そして。
水に飛び込むような感覚と共に。
私の視界は闇にのまれた。


────……。

ふよふよ、ほわほわ。

体が宙を彷徨っていて。
なにも支えがない闇は、こんなにも恐ろしかったんだ。

声を出そうと心見るが。

耳が聞こえていないのか、
声が出せていないのか。

自分の声は、聞こえなかった。

…水の中にいるみたい。

ちょっと平泳ぎの要領で体を動かしてみた。
そうでもしないと、闇にのみこまれそうな気がしたから。

あ、進んだ。

少しだけ、安堵したとき。




突如、光が射し込んできた─…



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