魔界の恋模様

「お、来たな」

「苺様!」

眩しい光に閉じていた瞳を開けると同時に、大魔王さんとフィーさんの声が聞こえてきた。

それと、シャワーらしき音も。

…お風呂、ついた?

「今日は、フィー特製のチョコレート風呂だぞ」

チョコレート風呂?
それって一体…。

じゃなくて!

「大魔王さん!私、死ぬかと思ったんだよ!?」

「なぜだ?」

「暗かったり、暗かったり、怖かったりさ!」

「…そうか。人間は闇が苦手だったのか」

そう呟くと、大魔王さんは顔をしかめた。
ああ、そんな姿も格好いなぁ…あ、違う違う!

「もう、いいもん!」

「大魔王様、お着替えを」

「分かった。フィー、苺も風呂にいれてやれ」

「は」

スルーすんなっ!

…つーか!
風呂にいれてやれ、ってなに!?

一緒にお風呂はいるとか、お着替え手伝いますとか、
いらないからね!
だ、ん、じ、て!
いらないからねっ!

「大魔王様、苺様は淑女ですので…。気が進みませんが、」

「そうだな。よいぞ、許可しよう」

「有り難うございます」

…なに?
あ、淑女とか言われてちょっとだけ嬉しいとか…。
思ってませんから!


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