魔界の恋模様
05:退屈が恋しいこの頃

「…」

ふいに目が覚めた。
…いや、単にトイレ行きたくなっただけだなんて、私は知らない。

よっこいせ、と起き上がったときだった。

「いっつぅ…」

後頭部に鈍い痛みがはしる。

ああ、そうだ。
私、転けたんだ。…派手に。

「…あのあと、フィーさんが運んでくれたんだ」

服はいつのまにかネグリジェだし。

そんな思考を巡らせながら部屋の扉をあける私。

「…うそ」

真っ暗。
部屋の外の廊下は、真っ暗。

どうしよう…怖い。
でも、トイレ行きたいっ…!

「…えいやぁっ!」

と、気合いをいれると私は壁伝いに歩き始めた。
私の部屋はこの屋敷のどこら辺だろ?
トイレはどこ?

…全然、場所わかんないじゃん!

トイレに行くのを一時諦め、一度部屋に戻ろうと後ろを振り向いたとき。


「部屋…ない?」

うそでしょ!?
目印になる様にドアをあけてきたのに!

必死に手探りでドアノブを探す…と。

手に触れた冷たいもの。

「ドアノブだ!」

急いで開けようとノブを回す私。

だけど。

ドアノブはいくら引いても、開いてはくれなかった。

え、やだやだっ!
怖い、怖いよぉ…。

真っ暗闇に独りぼっち。





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