魔界の恋模様

「あ…。苺さん?でしたっけ」

「あ、ああ、はい!」

いつの間にか背後に立っていたリーゼさんに思わず心臓が跳ね上がる。
…私、此処来てどれくらい寿命縮んだのかな。

「失礼ですが、貴方、大魔王様と…どういったご関係で?」

どういう、関係?
そっ、そそそれはどういった趣旨で…!?

「健全な一切不純は無い友人です!はい!何の違いもない!」

うーん、今まで生きてきて気付かなかったけど…。
私、上がり症なのか?
噛むし文末おかしいし…。

「え…、」

「苺様!参りましょう」

まだ何か言いたそうなリーゼさんを巡ってクリスさんが私の手を引いた。

「あ、クリス。部屋の片付けを頼めるかい?」

歩き出すクリスさんに追い討ちを掛けるレイス。
クリスさんは今にも泣き出しそうな声で小さく、はいと呟いた。
前を向いているクリスさん表情はわからないけど。
明るい表情じゃないことだけはわかった。

「馬鹿レイス」

気付いたら、言っていた私。

「ばーか、あほ、タラシ!ライスって改名しろ!干からびたご飯粒!」

「え、苺様…」

「いや、ご飯粒様に失礼だよねー!」

言いながら私は後悔していた。
ああ、なんてことをしてしまったんだ…と。
本人と婚約者が居る目の前で!
あろうことか暴言を喚き散らしてしまった…。






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