ピアノ
どこや…ここ?
記憶喪失の女の子を探して広い病院を歩き回っていたら迷ったらしい。
グランドピアノが置いてあるだだっ広い部屋に出た。
ピアノには綺麗な花が挿してある花瓶がのっていた。
「…なにしてるんですか?」
背後から声がして僕はびっくりして振り返る。
若い看護婦さんが怪訝そうな顔で僕を見ていた。
「あ、ここどこですか…?」
「ここは患者さんのための多目的ルームです」
「あ…そうなんですか…なんか人探してたら迷ってしまって」
「そうですか」
「あの…なんでお花が置いてあるんですか?」
僕はピアノを指差す。
「…ピアニストの患者さんがいたんです」
看護婦さんは声のトーンを下げて答えた。
「いたってことは…」
「亡くなりました、先週」
「そう…なんや」
「凄かったらしいんですよ、その子。9歳の時にピアノのジュニアコンクールで賞取って。世界を飛び回る天才少女ピアニストやったんですって」
「…何の病気やったんですか?」
「ガンでした。12歳の時に発病して…亡くなるまでずっと病院で過ごしてて…よくこのピアノ弾いてたわ」
…それで花瓶置いてあるんか。
どんな子やったんかな…
記憶喪失の女の子を探して広い病院を歩き回っていたら迷ったらしい。
グランドピアノが置いてあるだだっ広い部屋に出た。
ピアノには綺麗な花が挿してある花瓶がのっていた。
「…なにしてるんですか?」
背後から声がして僕はびっくりして振り返る。
若い看護婦さんが怪訝そうな顔で僕を見ていた。
「あ、ここどこですか…?」
「ここは患者さんのための多目的ルームです」
「あ…そうなんですか…なんか人探してたら迷ってしまって」
「そうですか」
「あの…なんでお花が置いてあるんですか?」
僕はピアノを指差す。
「…ピアニストの患者さんがいたんです」
看護婦さんは声のトーンを下げて答えた。
「いたってことは…」
「亡くなりました、先週」
「そう…なんや」
「凄かったらしいんですよ、その子。9歳の時にピアノのジュニアコンクールで賞取って。世界を飛び回る天才少女ピアニストやったんですって」
「…何の病気やったんですか?」
「ガンでした。12歳の時に発病して…亡くなるまでずっと病院で過ごしてて…よくこのピアノ弾いてたわ」
…それで花瓶置いてあるんか。
どんな子やったんかな…