友達〈短〉
友達
「ほんでー奈々てばむっちゃ可愛くてなー♪」

あたしの横でハートのオーラを出しながらにやけているバカ、森田健斗。
最近彼女が出来たからって毎日テンションが高い。

「はいはい、良かったな。チューぐらいしたん?」

「ちゅ…チューなんかできるわけないやんーっ!!」

両手で顔を隠して恥ずかしがる健斗。
…アホか。

「ホンマに真理子のおかげやわ♪
真理子は最高の友達や」

「あたしなんもしてへんよ」

「今日も図書委員集まりあんねんッ♪楽しみやわー♪」

「はいはい。ほら、もう昼休みやでー?彼女待ってるんちゃうん?」

「せやなっ!!ほなねぇっ!!」

健斗はバッと右手を上げて教室を出ていった。
…友達、ねぇ。
いっつも一緒にお昼ご飯を食べていた相手がいなくなり一人教室に残されたあたし。

健斗が発した“友達"
という単語であたしの胸はきゅうって締め付けられる。
健斗のバカ。
いつでもあんたの隣で笑ってるんはあたしでいたかったのに。
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