風魔の如く~紅月の夜に~
晶が、屋敷の中に入ると、大樹がさっきは見せなかった真剣な顔で待っていた。
「あの・・・また化け物が出て・・・・」
「分かってるよ。ちょっと、こっちへおいで」
そう言うと、大樹は屋敷の奥へと案内する。その間、晶は一人残ったミキの事が心配でしょうがなかった。
三分ほど行くと、一つの重苦しい扉の前で大樹が止まった。
「入って」
「ゴクリッ・・・」
大樹に連れられて入ると、そこは不思議な空間であった。
薄暗く、広さは分からないが、何故か空間の中心に、二つの箱が有った。
すぐに薄暗い原因は箱から出る光だと気付く。
二つの箱はそれぞれ極端に大小であった。
「これは?」
「式の素とでも言うかな?君の式を目覚めさせる物だよ・・・」
「俺の式を?」
「ああ、君の好きな方を取ると良い。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は、一度も戦うなんて・・・」
晶の言葉を大樹が途中から遮る。
「晶君の言いたい事は分かる。僕が出て行けば良いと思ってるんだろう?だけど、それは無理な話だ。僕は、ここに残っている仲間を守らなければならない。今、僕の仲間は眠っている。おそらく、僕が声をかけても起きないだろうし、そうしている間に、ミキ君は死んでしまうかもしれない・・・。君は、非情な奴だと思っているんだろうね?でも、たった一人のために、他の命を危険にさらす訳にはいかないんだ。
だから今、ミキ君を助けるには、君が僕達の仲間になり、『式使い』になってもらうしかないんだ!お願いだ。納得できないかもしれないけど、力を貸してくれ!」
そう言うと、大樹は深々と頭を下げた。その姿は、本当に必死で、晶の心を打った。
(助けたい。でも・・・・)
晶は迷った。もし、これを取れば、自分は前の平凡な日常には戻れないであろうという事を、晶は分かっていたからだ。平凡な日常・・・それは、今までの晶にとっては当たり前で、失いたくない物ではなかった。
しかし、今となれば、異様に愛しく感じる。学校のチャイム、それに合わせて急いで移動する日々の生活・・・・だが、晶の心は今、自分のために命をかけているミキを助けたかった。
「あの・・・また化け物が出て・・・・」
「分かってるよ。ちょっと、こっちへおいで」
そう言うと、大樹は屋敷の奥へと案内する。その間、晶は一人残ったミキの事が心配でしょうがなかった。
三分ほど行くと、一つの重苦しい扉の前で大樹が止まった。
「入って」
「ゴクリッ・・・」
大樹に連れられて入ると、そこは不思議な空間であった。
薄暗く、広さは分からないが、何故か空間の中心に、二つの箱が有った。
すぐに薄暗い原因は箱から出る光だと気付く。
二つの箱はそれぞれ極端に大小であった。
「これは?」
「式の素とでも言うかな?君の式を目覚めさせる物だよ・・・」
「俺の式を?」
「ああ、君の好きな方を取ると良い。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は、一度も戦うなんて・・・」
晶の言葉を大樹が途中から遮る。
「晶君の言いたい事は分かる。僕が出て行けば良いと思ってるんだろう?だけど、それは無理な話だ。僕は、ここに残っている仲間を守らなければならない。今、僕の仲間は眠っている。おそらく、僕が声をかけても起きないだろうし、そうしている間に、ミキ君は死んでしまうかもしれない・・・。君は、非情な奴だと思っているんだろうね?でも、たった一人のために、他の命を危険にさらす訳にはいかないんだ。
だから今、ミキ君を助けるには、君が僕達の仲間になり、『式使い』になってもらうしかないんだ!お願いだ。納得できないかもしれないけど、力を貸してくれ!」
そう言うと、大樹は深々と頭を下げた。その姿は、本当に必死で、晶の心を打った。
(助けたい。でも・・・・)
晶は迷った。もし、これを取れば、自分は前の平凡な日常には戻れないであろうという事を、晶は分かっていたからだ。平凡な日常・・・それは、今までの晶にとっては当たり前で、失いたくない物ではなかった。
しかし、今となれば、異様に愛しく感じる。学校のチャイム、それに合わせて急いで移動する日々の生活・・・・だが、晶の心は今、自分のために命をかけているミキを助けたかった。