風魔の如く~紅月の夜に~
「・・・どうして、あの二人はここにいるんだ?母親とかはいないのか?」
「・・・昔はいた。」
「えっ?それじゃあ・・・」
「ああ。あいつ等は、家族がいないんだ。これも『知恵の実』のせいさ、ここにいるのは、式使いである事はもちろんだが、家族がいなかったり、世間から邪魔者扱いされたのがほとんどさ。お前も、だからここに来る気になったんだろ?」
晶は、後ろから着いて行っているので、ミキの顔は見えないが、ミキが苦々しげにしているのが分かった。多分、ミキもどんな理由かは分からないが、どうしようもなくて、ここに住む事にしたに違いない。それを思うと、晶は少し悲しくなった。
(確かにそうだよな・・・。俺だって、両親がまだ生きていたら、ここには入居しなかったかもしれない。ここは、守るものが無くなってしまった奴らが集まってるんだ。これ以上、大切なものを無くさないために・・・。きっと、あの姉弟も、あんなに明るく振舞っているけど、苦労をしてきたんだろうな・・・・)
ミキは話しを続けた。
「まあ、もっとも、今となっては、ここが私達の居場所になっているがな。皆、口には出さないが、ここの奴らを家族のように思っているのさ」
「・・・俺も、その中に入れるといいな・・・・・・」
「何言ってる。今から、もうお前は家族だよ。さあ、葵さんの部屋に着いたぞ」
ミキが止まると、そこの扉には、可愛らしい文字で『葵の部屋。ノックするように!』と書いてあるボードが掛けてあった。ミキは、書いてある通り、数回ノックすると、「入ります」と、さっきとは打って変わり、丁寧語で言ってから扉を開けた。
扉の先には、不思議な光景があった。
「・・・昔はいた。」
「えっ?それじゃあ・・・」
「ああ。あいつ等は、家族がいないんだ。これも『知恵の実』のせいさ、ここにいるのは、式使いである事はもちろんだが、家族がいなかったり、世間から邪魔者扱いされたのがほとんどさ。お前も、だからここに来る気になったんだろ?」
晶は、後ろから着いて行っているので、ミキの顔は見えないが、ミキが苦々しげにしているのが分かった。多分、ミキもどんな理由かは分からないが、どうしようもなくて、ここに住む事にしたに違いない。それを思うと、晶は少し悲しくなった。
(確かにそうだよな・・・。俺だって、両親がまだ生きていたら、ここには入居しなかったかもしれない。ここは、守るものが無くなってしまった奴らが集まってるんだ。これ以上、大切なものを無くさないために・・・。きっと、あの姉弟も、あんなに明るく振舞っているけど、苦労をしてきたんだろうな・・・・)
ミキは話しを続けた。
「まあ、もっとも、今となっては、ここが私達の居場所になっているがな。皆、口には出さないが、ここの奴らを家族のように思っているのさ」
「・・・俺も、その中に入れるといいな・・・・・・」
「何言ってる。今から、もうお前は家族だよ。さあ、葵さんの部屋に着いたぞ」
ミキが止まると、そこの扉には、可愛らしい文字で『葵の部屋。ノックするように!』と書いてあるボードが掛けてあった。ミキは、書いてある通り、数回ノックすると、「入ります」と、さっきとは打って変わり、丁寧語で言ってから扉を開けた。
扉の先には、不思議な光景があった。