風魔の如く~紅月の夜に~
思わず晶は肩の力を抜く。
(よ、良かった~。家賃は無いから安いってのも嘘じゃないし、なんとかやり過ごしたな。)
そう晶が安心していると、ちょうど信号が青になった。滝沢と晶は無言で渡りだす。横断歩道の中間まで来たとき、滝沢が独り言のようにボソッと言った。
「そうそう、晶っち・・・夜は外に出ない方が良いよ?」
「えっ?」
一気に晶の身体から汗が滝のように出だす。滝沢の顔は窺えないが、そこには何処が脅しのような響きがあった。
「それってどういう意味だ?」
「・・・ここ、夜にはね。こわ~い、こわ~い狼さんが出るんだ」
晶はそれを聞いて敵の姿を思い出した。皆、半分狼のような姿をしていた。
(狼・・・それはモムンクルスの事じゃないのか?滝沢は俺に『これ以上、あいつ等の邪魔をすると殺す』と脅しを掛けているんじゃ・・・・で、でも、滝沢は民間人のはず。
もし、敵ならさっき俺を殺したはずだ。そ、そうだ。滝沢は民間人。きっと何か別のものだろう・・・)
「お、狼?まさか、そんなの居るわけ・・・」
「いるよ」
横断歩道を渡りきると、滝沢は小さく、しかしはっきりと言った。
「そう、ここに・・・」
いきなり滝沢は自分のバッグに手を突っ込む。そして、何かを掴んだのか、それをバッグの中から抜き、振り向いた。
「がるる~ん♪」
気の抜けた声が響く。
晶が滝沢を見ると、可愛らしいつり目の狼の人形を持っていた。
「えっ?狼って・・・」
「そう、これ・・・この子、この前、家に帰る途中で拾ったんだ。可愛いでしょ?」
そう言うと、滝沢は幸せそうに人形を抱きしめた。まるで、おもちゃで遊ぶネコである。
思わず、晶は安堵の溜息をついた。
(そうだよな。まさか滝沢があいつ等の仲間な訳ないか・・・)
そうこうしているうちに、二人は学校に到着した。校門をくぐると、滝沢は、晶を呼び止めた。
(よ、良かった~。家賃は無いから安いってのも嘘じゃないし、なんとかやり過ごしたな。)
そう晶が安心していると、ちょうど信号が青になった。滝沢と晶は無言で渡りだす。横断歩道の中間まで来たとき、滝沢が独り言のようにボソッと言った。
「そうそう、晶っち・・・夜は外に出ない方が良いよ?」
「えっ?」
一気に晶の身体から汗が滝のように出だす。滝沢の顔は窺えないが、そこには何処が脅しのような響きがあった。
「それってどういう意味だ?」
「・・・ここ、夜にはね。こわ~い、こわ~い狼さんが出るんだ」
晶はそれを聞いて敵の姿を思い出した。皆、半分狼のような姿をしていた。
(狼・・・それはモムンクルスの事じゃないのか?滝沢は俺に『これ以上、あいつ等の邪魔をすると殺す』と脅しを掛けているんじゃ・・・・で、でも、滝沢は民間人のはず。
もし、敵ならさっき俺を殺したはずだ。そ、そうだ。滝沢は民間人。きっと何か別のものだろう・・・)
「お、狼?まさか、そんなの居るわけ・・・」
「いるよ」
横断歩道を渡りきると、滝沢は小さく、しかしはっきりと言った。
「そう、ここに・・・」
いきなり滝沢は自分のバッグに手を突っ込む。そして、何かを掴んだのか、それをバッグの中から抜き、振り向いた。
「がるる~ん♪」
気の抜けた声が響く。
晶が滝沢を見ると、可愛らしいつり目の狼の人形を持っていた。
「えっ?狼って・・・」
「そう、これ・・・この子、この前、家に帰る途中で拾ったんだ。可愛いでしょ?」
そう言うと、滝沢は幸せそうに人形を抱きしめた。まるで、おもちゃで遊ぶネコである。
思わず、晶は安堵の溜息をついた。
(そうだよな。まさか滝沢があいつ等の仲間な訳ないか・・・)
そうこうしているうちに、二人は学校に到着した。校門をくぐると、滝沢は、晶を呼び止めた。