風魔の如く~紅月の夜に~
「言いたい事は分かります。闇使いにとって敗北は死でしか償えないもの、敗北しながら生きているなど言語道断。
しかし今、殺しては私の仕事、相手の特定・力量の調査が出来ないもので・・・勿論、相手の力量が分かれば処分いたしますがね」
「それと私に、何の関係があるの?私は今の生活が気に入っているんだけど?」
「しかし・・・今回のみ、お力を貸して頂く事は出来ませんか?」
「なぜ、あの方の直属の部下であるお前が、一闇使いでしかない私の力を借りたいの?」
すると、いきなり穴の中から、不気味な笑い声が聞こえてきた。まるで、全てを知っているかのような笑い・・・思わず、滝沢は身を震わせる。
滝沢には分かったのだ。この男は自分とは明らかに格が違い、ヤバイ奴であると。
(こいつ、底が知れない。まるで、誰もいない虚空に話しているような気にさせる。おまけに、こいつは何処か油断出来ない・・・ここは言う事を聞くべきか、それとも協力を拒んで、様子を見るべきか・・・)
「愚問ですね。で、協力するかしないか・・・どっちなんですか?」
ケルベロスの口調は変わらず丁寧であるが、先程とは違い、何処かドスが効き冷たかった。
滝沢はここで、初めて気が付いた。もう、自分に拒否権はないのだと・・・この質問は、滝沢に対する警告だ。それも、生と死を分ける・・・
滝沢は、個室の壁に寄りかかる。無表情で冷たい壁・・・それはまるで、今、滝沢に二択を迫っている穴に隠れたアイツのようである。
(まさか私が自分で選択できないような事に陥るとは・・・)
「分かったわよ。手伝ってあげる・・・でも、その代わりに二度と私の前に姿を現さないで」
「勿論、楽しい楽しい学校生活の邪魔はいたしませんとも。それでは、詳しくは今夜、貴方のご自宅でお話いたします」
皮肉混じりに言うと、穴は縮んでいき、ケルベロスの気配と共に消え去った。
それと同時に、身体中の抜けて滝沢はその場に座り込んだ。暫くして、汗も噴出す。
「ハハハ、まさか身体の力が抜けるくらいに緊張していたとは・・・私もダメね~。」
すると、予鈴のチャイムが聞こえてきた。急いで滝沢は立ち上がる。一時間目に遅れれば、晶に不審がられてしまうからだ。まだ、力が抜けてふらつくが、滝沢はクラスへと急いだ・・・
しかし今、殺しては私の仕事、相手の特定・力量の調査が出来ないもので・・・勿論、相手の力量が分かれば処分いたしますがね」
「それと私に、何の関係があるの?私は今の生活が気に入っているんだけど?」
「しかし・・・今回のみ、お力を貸して頂く事は出来ませんか?」
「なぜ、あの方の直属の部下であるお前が、一闇使いでしかない私の力を借りたいの?」
すると、いきなり穴の中から、不気味な笑い声が聞こえてきた。まるで、全てを知っているかのような笑い・・・思わず、滝沢は身を震わせる。
滝沢には分かったのだ。この男は自分とは明らかに格が違い、ヤバイ奴であると。
(こいつ、底が知れない。まるで、誰もいない虚空に話しているような気にさせる。おまけに、こいつは何処か油断出来ない・・・ここは言う事を聞くべきか、それとも協力を拒んで、様子を見るべきか・・・)
「愚問ですね。で、協力するかしないか・・・どっちなんですか?」
ケルベロスの口調は変わらず丁寧であるが、先程とは違い、何処かドスが効き冷たかった。
滝沢はここで、初めて気が付いた。もう、自分に拒否権はないのだと・・・この質問は、滝沢に対する警告だ。それも、生と死を分ける・・・
滝沢は、個室の壁に寄りかかる。無表情で冷たい壁・・・それはまるで、今、滝沢に二択を迫っている穴に隠れたアイツのようである。
(まさか私が自分で選択できないような事に陥るとは・・・)
「分かったわよ。手伝ってあげる・・・でも、その代わりに二度と私の前に姿を現さないで」
「勿論、楽しい楽しい学校生活の邪魔はいたしませんとも。それでは、詳しくは今夜、貴方のご自宅でお話いたします」
皮肉混じりに言うと、穴は縮んでいき、ケルベロスの気配と共に消え去った。
それと同時に、身体中の抜けて滝沢はその場に座り込んだ。暫くして、汗も噴出す。
「ハハハ、まさか身体の力が抜けるくらいに緊張していたとは・・・私もダメね~。」
すると、予鈴のチャイムが聞こえてきた。急いで滝沢は立ち上がる。一時間目に遅れれば、晶に不審がられてしまうからだ。まだ、力が抜けてふらつくが、滝沢はクラスへと急いだ・・・