風魔の如く~紅月の夜に~
「な、なんでお前たちがここに!?」
「ミキちゃんこそ!私達、いかにも怪しげ~な影を追ってきたんだよ!?」
「で、でもカイ~。その影、もう何処にも無いよ~?」
「ま、マジかよヨウ!?」

 三人がそんな話をしていると、大樹も公園に入ってくる。
 それに続くように、葵、キサがそれぞれ別々の入り口から忍び込んできた。
 ついに、晶を抜く六人全員が、公園内に集結してしまった。

 六人が、「これはどういう事か?」と、話していると、何処からともなく笑い声が聞こえて来た。

「フフフッ…ようこそ、お馬鹿な『時の風』の皆さん。まさか、ここまで上手く行くとは」
「だ、誰だ!?」

 大樹が、まだ見ぬ相手に問うと、声は急に冷たさを増した。

「うるさいぞ三下め…まあ良い。名刺代わりに教えてやろう。私は『闇夜の黒薔薇』、『知恵の実』の指示に従う者…悪いが、お前たちには少しの間付き合ってもらう」
「何!?」

 すると、闇夜の黒薔薇は、天を見上げた。ミキには、その目は何処か、悲しみをたたえているように見えた。

「今宵は良い月だ…収穫は大量に出るだろうな。いや、それ以上に狩人の血が見れる。お前たちには、邪魔はさせないからな」
「狩人の血…?まさか!」

 大樹は、周りを見回す。

(一人足りない!)

 そう、大樹は晶がいない事に気付いたのだ。
 大樹たちの敵が狩人と呼ぶとすれば、それは大樹達の事を現している可能性が高い。 ならば、狩人の血が流れると言うことは…

 大樹は、すぐにキサに晶を助けに行くよう命令した。
 しかし、それは、思わぬ邪魔で阻まれたのだった。

「ッ!」

 キサはその場に倒れるように跪く。すぐに、葵がキサに近付く。

「どうしたのキサ!」
「…足が」
「えっ?」

 
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