風魔の如く～紅月の夜に～
「ど、どういう事だ！？お前達、何のつもりなんだ！？」
「ふう～、分からない奴。ケルベロス、教えてやれ」

　滝沢が頭を抱えながら言うと、ケルベロスは、その死人のような目で抑揚なく言った。

「私、ケルベロスが負った任務は敵の力量の把握とゴミの早期排除。闇夜の黒薔薇には、それを手伝ってもらっただけです。」
「分かったか？つまり、お前の仲間ではなかったんだな。」
「そ、それじゃあ、ゴミって･･･」
「ああ、お前の事だ。この役立たずが！大人しくしな」
「ち、ちくしょう！ぼ、僕は死なないぞ！来いモムンクルス共！」

　ライカがそう叫ぶと、そこら中から狼顔のモムンクルス達が現れる。その数、五十匹。

「ハハハッ！これなら、いかにお前達でも勝てないだろ」
「愚かな･･･」

　滝沢が言った次の瞬間、滝沢の周りに居るモムンクルス達が一瞬にして地へと吸い込まれていく。

「そ、そんな馬鹿な！で、でもまだケルベロスの方が･･･」

　振り向いたライカが見たのは、ケルベロスの周りにただの肉片となって転がったモムンクルス達だった。

「あ、ありえない･･･」

　ライカは、その場に蛇に寄りかかるようにして座り込む。

「さあ、狩りの締めだ♪」

それから暫くし、街中に苦痛の悲鳴が響いた。
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