君が伝えるもの
そこは、一階の一番奥の教室で扉を見れば"写真部室"と書かれていた。
教室の入り口付近の壁に貼られていた写真。
私はその写真に心奪われ足を止めていた。
真っ赤な夕焼けの海に、影のように浮かび上がる楽しそうな女の人の姿。
風邪になびいた髪の毛をかきあげる姿が何とも言えないくらい、その姿が、心に響いた…
この写真誰が撮ったんだろう?
誰かが後ろまで来ていることに気づかないくらい、その写真を魅入っていた。
「写真部に何か用?」
突然の声と肩を叩かれたことにに、体がビクッとなる。
恐る恐る振り返ってみると後ろに居たのは、首からカメラを
ぶら下げて、眠そうに私を見ている佐竹先輩と、黒縁眼鏡を掛けた男の人がいた。
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