君が伝えるもの



腕を掴んだまま離さない先輩。





「ありがと…」





『えっ?』





突然、お礼を言われて戸惑う私。





何もしてないんだけど…





逆に、私がお礼言いたい感じなんだけどな。





そんな中、静かに口を開く長谷部先輩。





「この写真の題名、"美しい悲しみ"って言うんだ。ちなみに、撮ったのは咲弥」





その言葉を聞いて私の掴んだまま恥ずかしそうな表情を浮かべる佐竹先輩。




「だから、遥その名前言うな…恥ずかしい」





「しかも、これ咲弥が初めて賞もらった写真。しかも、最年少」





『凄い…』





「この写真は咲弥の思い出の写真。だから、ありがとう。こいつ口下手だから」





そうやって笑う長谷部先輩と、まだ恥ずかしそうにしている佐竹先輩。





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