第2ボタン〈短〉
それでやっと気付いてん。
あたしにとってどんだけ直也の存在が大きかったか、どんだけ直也のこと好きやったか。
いつの間にかあたしの心は直也でいっぱいになっていた。
そんなこと失ってから気付いても遅いのにな…

「うわっ、ヤバい!懐かしいっ!」

駿が叫ぶ。
飲み屋を出たあたし達は昔よくたまっていた公園にやって来た。

「「ブランコや―★」」

あたしと健はブランコに向かってダッシュ。
昔は公園に2つしかないブランコをあたしと健と直也の三人で良く取り合いしていた。
その光景をいつも駿は笑って見守ってくれていて。

直也どうしてるんやろう…?
さっきからあたしの頭をぐるぐる回るんはそればっかり。

「やった、取った!いちばーん!」

あたしはブランコの鎖を掴んで振り返る。
健がだいぶ後方を走っているのが見えた。
あいつ体力落ちたんちゃう?
なんてあたしが勝利に浸っていると、

「俺、二番」

「え…」

あたしは声に驚いて視線を戻した。
そこにはもう一個のブランコの鎖を掴んで微笑む直也がいた。
突然のことにあたしの思考回路はショート寸前。
直也に会うのは卒業式ぶりだった。
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