百涙千笑-ヒャクルイセンショウ-

夜明けの海岸

夜明けの海岸は
白く浮かび上がり
キリキリと胸を締め付けた。

冷たい風が
そっと吹き抜ける。
頬を撫でる
貴方の涙のように。

太陽に抱き締められて
地平線の遥か彼方から
海は熱を取り戻していく。

風は温かく優しくて
貴方の微笑みのようね。

愛しい貴方に抱き締められれば
貴方が触れているところから
私は熱を取り戻す。


海岸から海へ
浅瀬からもっと奥へ

絶望から希望へ
涙から微笑みへ

もっと遠くまで行こう。
もっと明るいところまで。

手を繋ごう。
ずっと離さないで。
海は繋がっているのだから
私たちも繋がっていよう。

真っ白な海岸はやがて
土の色を取り戻す。
それでもきっと
ここは静かなままだろう。

波の音が聞こえる。
私たちの足音が聞こえる。

誰もいない夜明けの海岸…
私たちだけの場所。


手を繋いで二人で眺めた地平線は
遥か彼方に希望を携えていた。


†+――――――――+†

人間なんてちっぽけな生き物さ。

†+――――――――+†
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