*パパはヤンキー高校生*
「え……?…せ、刹那さん…?」
私の目の前には、確かに刹那さんが立っていた。
「刹那さん……」
「何やってんだお前、こんなところで?」
「刹那さん…だよね?」
夢かと思った。
完全に刹那さんが事故に遭ったものだと考えていた私は、刹那さんの姿に名前を呼ぶことしか出来なかった。
「本当に刹那さん…?」
「ああ?当たり前だろ!」
本当にその姿が刹那さんで、夢でないことを確信し始めると私は、刹那さんに向かって叫んでいた。
「何やってるんですか!!何で家に帰って来ないんですか!!事故にあったの、刹那さんかもって思ったじゃないですか!!…ハァ…ハァ…」
「なんだよ急に……」
「なんだよじゃありませんよ!ったく、私がどれだけ……!」
「どれだけ…?」
"私がどれだけ心配したと思ってるんですか"って、言おうとしてた私。
だけど、その言葉を自分で止めた。
「い、言っときますけど、お母さんを悲しませたくないからですよ?」
「は?」
「お母さんに刹那さんをよろしくって言われたからですよ?」
「何がだよ?」
「い、……家に、帰って…来てくださいよ」
「瑠華……」
そうだよ。
お母さんのためなんだもん。
うん…、お母さんのため。
だけど、生きててよかったって正直に思えたのは確かだった。