私のOrion



「――卒業証書授与。」


そんな司会の先生の声が聞こえ、しばらくして生徒の名が次々と呼ばれていく。


周りからは、鼻をすする音やシャッターの音。時折誰かの話し声がかすかに聞こえる。


―――今日は卒業式。

皆が別れを悲しむ日。
私にとっては違うけれど‥‥

卒業という実感がわかず、1人ぼーっとしていた。


「ふわぁ‥‥。」
と小さくあくびをすると、隣の要に「馬鹿」と口パクされた。

瀬斗と桜井

出席番号順で並ぶと、となりになる。


「瀬斗 美冬」
担任の先生に呼ばれ、小さく「はい」と返事をして、椅子から立ち上がった。
< 29 / 43 >

この作品をシェア

pagetop