あいをください
マナブは、よく言えば飾らない性格で、悪く言えば子供っぽかった。
どのくらい子供っぽいかと言うと、ちょうど「クレヨンしんちゃん」がそのまま大人になったような人。
明るくて、社交的で、私には無いものをたくさん持ってた。そのかわり、悲しいくらい馬鹿だった。
彼から来るメールの文末は、毎回「きおつけてね」で終わる。



指摘しても、悲しいほどに学習しない。



そんなマナブに惹かれていくのは、何故か。



私の父も悲しいくらいの馬鹿だからかもしれない。暴力とセクハラしか受けなかった、それでも父性愛に飢えていた私は代役を立てたんだと思う。



これは恋と呼べるのか。はたまた愛し愛されていた仲なのか。

本当はわかっていた。これは単なる欲望だと。


彼は結婚していたのだから。
< 4 / 21 >

この作品をシェア

pagetop