あいをください
養護の先生に紹介された医者は、胡散臭かった。バレエをしていたという医師は、年相応に見えない外見が自慢の老人だった。喋り方に癖がある。視線は相手から離さない。いつも一方的に話すので、無理矢理納得せざるをえなかった。


精神科医は変わり者。
そういうものかもしれないと思っていた。



時には患者を怒鳴る声が、待合室に響く。
ああ…あの人を怒らせたら何をされるのか。その声を聞くと動悸が激しくなり不安に襲われた。


私は度々暴力を受けてきたからだ。
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