I -私-
幼き頃の記憶
幼い頃の話だった。

私がちょうど10歳頃の話だ。

私たち仲良し3人グループは、終業式を終え家に帰るために通学路をノロノロと歩いていた。


ミーンミーンミーン


五月蝿い位の蝉の声。

毎年の事とはいえ耳を塞ぎたくなるような五月蝿さだ。

「麗華の家はね、夏休みにフランスに行くんだ!!フランスはおしゃれなお店がいっぱいあって綺麗な建物も沢山あってすごいんだよ!!」

今、話しているのは北条麗華ちゃん。

お父さんが社長で長期休暇のたんびに旅行へ出かけている。

「私だって旅行行くもん!!」

と胸を張りながら言ったのは吉条院彩子ちゃん。


お祖父さんが地方出身な事から少し変わった苗字だ。


初めて、同じクラスになったばかりの頃、名前の読み方に正直迷った。

勝気で少し気が強いけど本当は優しい子だ。

「ふ~ん。どこに??」

と少し小馬鹿にしたような顔をして聞く。

「・・・場所は分かんないけどキャンプ。」

と少し声を小さくして言う。

「な~んだ。キャンプかぁ~」

「旅行は旅行だもん!!ていうか麗華ちゃんまた自慢?ホントに性格悪いねっ!!」

と声を張り上げて言う。

「なっ!性格が悪いのは彩子ちゃんじゃない!!」





< 1 / 146 >

この作品をシェア

pagetop