I -私-
「武さんに言われて来たのかは知らないけど、美月が来たのは覚えてるよ。」



そんな事、思い出すまでもない。



だって美月が病室に来たのは、そんなに昔の出来事ではないのだから。



「じゃあさ、いっいつ私が刺されて倒れてたか覚えてる。」



美月の声が震えた。



でも、目は、私の方へまっすぐ向けている。



意志の強い瞳だった。



私は、その瞳をしっかりと見据えながら考える。



そして、少し前の時間の事を思い出してみようとする。



確か、あの時、彩子ちゃんの声が聞こえて、そして美月は、いつの間にか刺されていたのだ・・・。




「彩子ちゃんの声が聞こえた後、気がつくと美月が刺されてた。」


私はただ、そう答えた。

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