Ｉ　－私－
「きっと、酷く責任を感じてたんだと思う。」



「責任？？」



「自分が喧嘩を止められなくって、そして、絶交というような状態にしてしまい、そして、更に関係が悪化し、麗華のイジメのせいで、彩子が自殺してしまった。その責任は、全て自分にあると思い込んでいたんだよ。あの喧嘩を何年も何年も異常な程後悔い
続け、そして、これは、診断結果を見ない事には分からないが、ストレスや、色々な事が重なり、脳に大きな腫瘍ができ、沙羅ちゃんの感情や意識を狂わせた。頭の激痛も、普通ならおかしいと考えるが、沙羅ちゃんは、罪の意識を持ちすぎるばかりに彩子が怒っているとから頭が痛くなるという妄想を作った。彼女は、きっと長い間自分でも気がつかないうちに心の病気だったんだ。だから、脳の病気に気がつかなかった。」



たんたんと静かに言う武さんの話を聞きながら１番泣いているのは、彩子ちゃんだった。



きっと彼女は、自分が自殺（結局失敗に終わったが）しようとした事や、麗華ちゃんと仲直りできなかったこと、ここまで、沙羅ちゃんを思いつめさせ狂わせたこと。



全てを嘆き、やりきれない気持ちでいっぱいなのだろう。



泣き声の合間に「私のせいだ。私のせいだ。あの時私が、」



そんな悲しみの声が聞こえてくる。



沙羅は今、催眠ガスの効果で静かに寝息を立てて寝ている。



さっきまでの取り乱しようが嘘のように。


でも、ずっと目を覚まさない方が幸せかもね。



夢の中なら、辛い現実に向き合わなくてもいい。




だからね、沙羅もし現実に戻ってくるのが怖かったら眠っていいよ。



そう美月は静かに心の中で思った。



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