I -私-
沙羅の精神状態が狂いだしたとき、1番近くにいたのは私。



なぜ何も気が付かなかったんだろう。




後悔してもしきれない。



沙羅、助けてあげられなくってごめんね。




きっと、私が1番沙羅を助ける機会があった。



沙羅の側にいて沙羅を守っているつもりだった。


でも、全然守れていなかったんだね。



自分の無力さに腹が立つ。


悔しい。



悲しい。




きっと、他人からすれば、どうしようもなかった。



医者じゃないのだから気がつくはずがない。しょうがなかったんだ。



きっとそう言われるだろう。


でも、でも私は、沙羅を助けたかった。




私は、彩子ちゃんと同じように泣けるだけ泣いた。



涙が止まらない。



止まらない。



武さんも静かに涙を流していた。


それぞれがやりきれない気持ちでいっぱいだった。



沙羅が、目を覚ましたのは、3日後の昼だった。
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