I -私-
「そういえば、沙羅、さっきから腕押さえてるけどどうしたの??」


「えっ!あっ朝ぶつけちゃって!!ドジだよね!!アハハ。」


「・・ふーん。気をつけなよ。」


「うん!!」


少し疑いながらも、一応納得してくれたようだ。


こんな事誰のも話せない。


話したら私の頭がおかしいと思われる・・。


ミーンミーンミーン


「えっ!」


蝉の鳴き声が聞こえてバッと振り返る。


「どうしたの?沙羅。」



「今、今蝉の鳴き声しなかった??」


「蝉??聞こえないよ。ていうかこんな10月の半ばに蝉の鳴き声なんか聞こえる訳ないじゃん!!どうしたの沙羅?秋バテ??」



と少し笑いながら言う。



「そっそうかな。だよね!私の気のせいかも!!」


と言ってみたが、気のせいのはずがない。



だって、今も私の耳には蝉の鳴き声が聞こえているのだから・・。
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