I -私-
いつの間にか蝉の鳴き声が聞こえなくなっていた。

「ほら!!やっぱり、麗華の方が好きなんだ!!だから悪いのは彩子ちゃんだよ!!」

「・・・・・・。」

気まずい雰囲気とはこう言うものらしい。

「ねぇ!ねぇ!!じゃあ、麗華と彩子ちゃんどっちが性格がいい??」

この後、麗華ちゃんは彩子ちゃんの顔がどんどん暗くなるのが分かっていても自分と彩子ちゃんのどっちが優れているか、可愛いか、人気があるかなどを沢山聞いてきた。
私はただただ呪文のように「麗華ちゃん」としか言えなかった。

麗華ちゃんは相当気が強くクラスのリーダー敵存在だ。

そんな麗華ちゃんに逆らうのが怖くて、私は嘘をつきまくった。

この時、私がもし、「もうこんな事聞くのやめて!こんな事聞いて何になるの?」
と怒ればよかったのだ。


そうしたら、アヤコチャンハコンナニキヅツカナカッタノニ・・・


ミーンミーンミーン

蝉の鳴き声がまた再開した。
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