I -私-
「私が話します。実は、あなたの妹さんの彩子ちゃんがこの連続通り魔事件の犯人の確立が高いのです。」



私がなかなか言い出せない心情を察してか美月が私の代わりに今まであった事を話してくれた。



美月だって、言いにくいはずだ。



武さんがショックを受けるのは分かりきっているのだから・・。




美月はそうやっていつも嫌な仕事を自分から引き受けてくれる。



彼女の正義感溢れ優しく強い一面を知るたびに私はうらやましくもあり、自分が情けなく惨めに見えてくる瞬間がある。



「そうか・・そんな事、が・・。」



私が考え事をしていると美月は今までの事を全て話し終えたようだ。




予想通り武さんの目は充血していて今にも泣きそうだ。




男と大人と刑事のプライドで涙を流さずに済んでいる。という感じだ。



「こんな武さんにとって辛いことを一気に話してすみません。でも、武さんは知っておくべきなんです。それに、ここにいる沙羅の命も彩子ちゃんに狙われているのです。」



と美月は真っ直ぐ武さんを見て言った。




美月は・・・強いな。



そんな美月の様子を私はじっと見ていた。
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