I -私-
そしてまた真実
「あっあや・・こちゃん??」



私が震えた声で呼びかけると彩子ちゃんは、少し微笑んで、静かにうなずいた。





「俺は、彩子が行方不明になってから、ずっと仕事の合間を縫って彩子を探していたんだ。」





「えっ・・??」




「調べて行くうちに彩子がイジメに遭っていたことが分かった。そして、その主犯が麗華であるということも。」



ただ淡々と話す武さんは、相変わらず怖い顔で、私は何も言えなかった。



「俺が問い詰めたら麗華は彩子からの手紙を見せてくれたよ。正直その手紙を読んで、恨んださ。でも、彩子が自殺してしまったのは変えがたい事実。俺は、せめて彩子の亡骸を回収できるように捜査を続けた。」




「なっ何で、私と美月が初めて警察署に行った時、武さんに彩子ちゃんと麗華ちゃんの間にあったイジメの事とか遺書の事とか話したとき、知らない振りをしたんですか??」



「あれは・・2人には悪いがもしかしたら沙羅ちゃんも美月ちゃんも彩子をイジメていた内の1人かもしれないと思ったからだよ。それなら、じっくり話を聞きたかったしね。まぁ、すぐに違うって分かったけど。」



「・・・・・・・・・・。」


確かに、いきなり事件の事を知りたいなんて、見知らぬ女子高生が押しかけてきてしかも、それが、自分の妹の自殺の原因を作った麗華ちゃんの知り合いとなれば疑いたくもなるかもしれない。



武さんの様子からして、通り魔事件の中でも麗華ちゃんの事件は特に気にしていた感じがするし。


そんな事を考えていると武さんがまた口を開く。













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