最後の恋
そんなことを考えながらしばらくボーーーっとしてると

気づいたら、ボールが窓の下まで転がってきていた。


1人の男の子がボールをとりに走ってくる。

ボールを拾い上げると
私に、人懐っこい笑顔をむけて挨拶をしてきた。


「こんにちは!」


『…こ、こんにちは。』


久しぶりに話す同じ歳ぐらいの子に
少し、とまどいを隠せなかった。



「ここで入院してるんだよね??」


『うん。』


「そっかぁー。病気すぐ治りそうなの?」



『ううん。・・・たぶん治らない。』


「そんな弱音はいたら駄目だよ!!」


『っえ!?』


初対面の人に、そんな事を言うなんて
まったく想像もつかなかったから、少し驚いた。



「おーーーい!涼介早くしろよ。」


少し遠くのほうで、一緒に遊んでいる子達が
その男の子の名前を呼ぶ。


「っあ、僕もう行かないと。病気に負けちゃ駄目だよ!!じゃあね。」


『う…ん。』



ボールを持って男の子は走ってく。



まるで、嵐がきて一瞬でさってしまったみたいだった。



また私は病室で1人ぼっちになってしまう。

でも、私の心の中はなぜか
嵐がくる前より温かく感じた。


あの男の子はいったい・・・・
なんだったんだろう。




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