Dragon Fang
羽瑠は宙を見つめ、思い出したようで頷く。
「羽瑠なら、良壱の味方すると思った。男なんだし、一回くらい浮気しても許してやれって言うと思ってたんだけど。」
「そう言って欲しかったのか?」
黙って首を横に振った。
言って欲しい訳がない。
でも、心の奥が言う。
『もう少し心を広く持ったら?』と。
あたしは半分残っている麺を平らげる。
「確かに、一回の浮気でどうこう言ってるお前もお前だけどよ?
そういうのってチャンスなんだ。」
「…チャンス?」
「あぁ。
これから、お前らがこのまま潰れるようならそれまでだし。恋人同士で居られるようなら、今までよりもっと強い愛情で結ばれる。」
羽瑠は煙草を吸う。
灰皿を手元に引き寄せ、灰を落とした。