Dragon Fang

そういえば、泣いていなかった。

思い出したら涙が溢れてくる。

「…お兄ちゃん。」

一頻り泣いて、頭がぼーっとしてきた。

「ん?」

「あたし、ずっと前バイク借りて壊した事なかった?」

…口から出たのは、今はどうでも良いような会話だったけど。

「あぁ、あった。」

「なんで壊したんだっけ?お兄ちゃん、怒った?」

羽瑠はあたしを見て、呆れた顔をする。

「全て忘れた訳かよ。
お前が遊びかなんかで、堤防から海に突っ込んだんだろ?んで、バイクはダメになるわ、お前は死にそうになるわ…で大変だったんだぜ?」

…なんと。

「そうだったんだ。」

記憶がまったくない。





< 103 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop