Dragon Fang
「骨は折れてない。ただ腫れが酷いのね。」
石塚は淡々と説明していく。
「っ痛ぇ!!」
暴れる夏弥を押さえつけながら。
「はいはーい、動かないの。」
「…やっぱり、医者って悪魔に等しいと思う…。」
あたしは良壱の後ろで、そっと呟いた。
良壱はさっきの悲しい顔はどこへやら、押さえつけられる夏弥を見て満足そうだった。
重傷なのは、虎の人間ばかり。
判断がつかなかったり、龍や蝶の人間は軽傷で済んでいる。
「…家に帰れないや。」
あーあ、と治療が終わった顔を鏡で見ながらため息を吐く夏弥。
「何で?」
「母さんや夏帆がうるさいんだよ。」