Dragon Fang
ナスを洗ってると、急に後ろに温もりがきた。
「…どうしたの?」
ちょっと意外で、声が裏返りそうになる。
「人恋しい時期?」
良壱は耳元で囁いた。
「今現在、夏になりかけですが。」
少し振り向く。
それが合図みたいに唇が重なる。
『好き』とか甘い言葉なんて囁けない。
そういうのが苦手に生まれてきたあたし。
「…水が勿体無い。」
唇が離れて言う良壱。
良壱が悪いんじゃん!!
ナスと卵と魚肉ソーセージを混ぜたケチャップライスが出来上がる。
炒飯じゃなくなったのは途中、良壱がオムライスが食べたいと言い出したから。