Dragon Fang
教室には夏弥が椅子に座っていた。
周りもいつもと同じ。
「おはよう。」
こっちに気付いたようで声をかけてくる。
「おはよ。」
あたしも返した。
何をする訳でもなく、椅子に座る夏弥の隣に椅子を持ってきて座る。
良壱も隣に座った。
「…なんかあった?」
「いや。何も。」
サラリと返される返事。
拍子抜けしてるみたいだった。
「羽瑠は何にも言ってこないのか?」
良壱が口を開く。
あたしは頷いた。
何も聞いてない。
…そういえば。
羽瑠の言ってた“好きな人”って誰なのだろうか?
爆音が聞こえる。
夏弥が立ち上がって、教室を出て行こうとする。
「夏弥!違うよ。」
あたしの声に、立ち止まった。