Dragon Fang
「あ…なら、美味しいラーメンを奢ってあげる。」
「まじか。じゃあ今度行こうぜ…じゃなくて。」
羽瑠は口を噤む。
あたしは出てくる言葉をただ待った。
「那瑠。忠告には、従っておけ。」
そうして、羽瑠はエンジンをかけて「ちゃんと奢れよ」と言い、行ってしまった。
その言い逃げ野郎の背中を見て、あたしは二人の元へ戻ろうと振り返った。
門には、良壱が寄りかかっていた。
思わず口を開く。
しかも、良壱はそれ以上にあたしを珍しい物を見るかのように見る。
「どうかしたの?」
どうかしたに決まってる。
この距離だと会話は聞こえていたはずだから。
今さっき、忠告を受けたばかりで…。