Dragon Fang
嵌められた。
その姿しかない理科室を見回して、あたしは感じる。
この前の喫茶店と同じかそれ以上の人数。
──逃げる術が見つからない。
「…素直に嵌っちゃったね、ナルちゃん。」
タキは優しく笑う。
あたしも肩を竦めた。
「もしかして、それもひとつの罠だったりする?」
…それは。
裏をかきすぎだと思うけど。
タキより、周りの人間に警戒をした。
いつ飛びかかってくるか分からない、血の気の多い集まりな訳だし。
溜め息を吐いた。
もう、散々。
「抵抗しないでね?押さえたりするの、嫌だし。なんか、ナルちゃんは平気で俺とか殴りそうで怖いよ。」