Dragon Fang
疑うのは分かる。
「あたしは最初に会った時から、友達になれるなって思った。」
「何を根拠に。」
「那瑠って名前だって言ったら、ナルちゃんって呼んでくれたから。」
あたしは蝶々だけど、蝶々じゃない。
名前が知られていないから、最初に蝶々って呼ばれるのは慣れている。
「…そっか。」
本当に納得したのか。
それとも、聞こえる足音に話を早く切り上げたかったのか。
どちらにせよ、あたしは黙った。
堂々と消す事なく歩いてくる足音は良壱のもの。
「お出迎えだね。」
にっこり笑うタキ。
理科室のドアが開いた。
「…待ち疲れたんだけど?」
あたしは、自然と口元がつり上がるのが分かった。