Dragon Fang

誰も来ない理科室。

目の前で起こっている喧嘩を止められるのは。

「…あたしだけか…。」

誰にも聞こえないように呟く。

二人とも現役なだけあって、避けて避けられ。

決着がつく前に止めないと、連鎖が始まる。

それだけは、やってはならない。

あたしは、振り上げた良壱の腕を掴む。

「…退け。」

低い声で唸る良壱は、目の前の敵以外、目に入っていない。

「やったって、何も変わんない。」

タキがあたしを見た。

王子様は、あたしを助ける為に来たんじゃないの?

喧嘩する為にここに来たの…!?



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