Dragon Fang

「あたしが言える事じゃないけど。」

良壱の腕から手を離す。

それでも、その腕はタキに振り上げられる事はない。

「暴力じゃ何も解決しない。」

本当に暴走族のあたしが言える事じゃないけど。

「力で解決すんのは汚い大人がする事じゃん。勝って、優越感に浸る。」

「…那瑠。」

「人と向き合って話さないと、同じ事が続く。」

俯いていた顔。

「那瑠。」

静かに頬に触れる良壱の指。

「泣くな。」

恐れたように震えた声が聞こえた。



< 158 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop