Dragon Fang
感じた事があるこの感情。
この空気。
この空間。
思わず歩を止めた。
…あぁ、そりゃあ見た事があるはず。
良壱が歩を止めたあたしを振り返って、手を引いた。
でも、なんで良壱がこの場所を知ってるんだろう。
そんな事しか、頭に浮かばない。
意味が分からない。
何故?
「206号室。」
良壱が口を開く。
「行ってこい。」
…意味が分からない。
「…行かない。」
「…那瑠。」
「帰りたい。」
…意味が分からない。
「那瑠。」
「帰る。帰りたい。」
…意味が…。