Dragon Fang

お父さんが死んでしまって、精神的に参っていた時の話だと思う。

その時から羽瑠は族に入っていて、家には殆どいなかった。

「……。」

…例え、その時お母さんをあたしが宥めていたのだとしても。

親戚が病院に入れろ、と言われて入れてしまったのは、あたし。

結果的に投げ出した。

「…何で。」

聞いてみる。

「何で良壱がこの場所を知ってるの?」

「羽瑠に連れて来て貰ったの。」

「何で?」

さっきから“何で”ばかり。

それでも、見え隠れしている本当の意味が分からない。



「那瑠、お母さん癌なの。」


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