Dragon Fang
あたしの苦手な黒いオーラを出す人がいない今、絶好のチャンスだ。
「素晴らしい事はしてないよ。」
にこり、と笑う夏弥。
「本当に何してたの?」
もう一度聞くと、鋭い答えが返された。
「俺に聞いても、良壱の事は分からないよ。」
…この人。
心を読み取る力があるのかもしれない。
その通り、あたしが知りたいのは良壱の事。
同じ時期に学校に来なかった夏弥は、良壱と一緒に何かしていたって踏んだから。
「…何も知らない?」
「知ってても多分言わない。なんで?直接聞けば良いと思うけど。」
夏弥の言ってる事は正論だ。
正論すぎて、言い返したくなる。
「あたしはそうだったけど…なんか、どこかのチームを飲み込んだって人に言うの嫌なんだよね。」