Dragon Fang
死んでしまったのか…。
見たわけではないけど、泣きたい気分になった。
「あの映画、良かったよね。」
丁度、あたし達の前の席に座っていたカップルが通りかかる。
「最後の結婚式のシーンとか、特に。」
…うん?
結婚式やったんなら…主人公は生きてたんじゃ?
良壱を見た。
「からかった!?」
噛み締めるように、笑っていた。
「馬鹿みたいに信じるから。」
馬鹿と言うな!
あたしは良壱の手を握って、つーんと向こうを向く。
近くの公園に着いてからも、ずっと顔を合わせない。